科目:支払手数料はどういった内容に使われる?

確定申告や決算書作成の際に、
「これは支払手数料でいいのか?」
「外注費や雑費との違いは?」
と迷われる方が非常に多い科目が支払手数料です。

本記事では、支払手数料の使われ方・個人事業主と法人の違い・該当しないケース・具体的な仕訳例まで、実務目線で整理します。


支払手数料とは何に使う科目か

支払手数料とは、

事業に関連して、
手続き・取引・仲介・決済・利用行為そのものに対して支払う対価

を処理するための費用科目です。

代表的な明細項目(実務で多いもの)

以下はいずれも「役務提供の成果物」ではなく、
行為・仕組みの利用に対する対価である点が共通しています。

  • 振込手数料(銀行・ネットバンク)
  • クレジットカード決済手数料
  • ECモール(Amazon・楽天等)の販売手数料
  • 決済代行会社への手数料
  • 各種仲介手数料(紹介・マッチング)
  • 登録・申請・更新手数料
  • チケット販売手数料
  • システム利用に付随する処理手数料
  • サービスの利用

👉 「何かを作ってもらった」ではなく、「仕組み・サービスを使わせてもらった」場合に使われるのが基本です。


個人事業主と法人で支払手数料の違いはある?

結論

👉 科目の考え方・使い方に違いはありません。

個人事業主・法人いずれにおいても、

  • 支払手数料は販売費及び一般管理費
  • 処理基準は同じ
  • 勘定科目名も同一

です。

ただし実務上の違い(重要)

観点個人事業主法人
科目の厳密性比較的柔軟厳密(決算書の見栄え重視)
外注費との区分混在しがち明確に区分される
税務調査対応少額なら黙認されやすい説明責任が強い

法人では特に
「外注費にすべきものを支払手数料にしていないか」
をチェックされやすいため、区分は重要です。


支払手数料に当てはまらないケース

ここが最も間違いが多いポイントです。

❌ 支払手数料にしない代表例

① 成果物があるもの

  • デザイン制作費
  • 原稿執筆費
  • プログラミング費用
  • 動画編集費

👉 外注費になります。


② 継続的な業務委託

  • 月額の事務代行
  • カスタマーサポート代行、サポート費用
  • SNS運用代行

👉 外注費になります。


③ 単なる消耗・購入

  • ソフトウェアの月額利用料
  • サーバー使用料
  • ツールのサブスク費用

👉 通信費 / 支払利用料 / 消耗品費 になります。
※支払手数料ではありません


④ 役員・従業員に支払うもの

  • 給与
  • 報酬
  • 立替精算

👉 給与・賃金 / 役員報酬 / 立替金 になります。


判断基準まとめ

判断ポイント支払手数料該当しない
成果物がある×外注費
行為・処理の対価
継続業務×外注費
物の購入×消耗品費等

支払手数料の仕訳例

① 銀行振込手数料を支払った場合

(借方)支払手数料 440円  
(貸方)普通預金 440円

② クレジットカード決済手数料が差し引かれて入金された場合

売上10,000円
決済手数料500円
入金9,500円

(借方)普通預金   9,500円  
(借方)支払手数料   500円  
(貸方)売上高   10,000円

③ ECモール販売手数料(Amazon等)

(借方)支払手数料 3,000円  
(貸方)未払金   3,000円

④ 仲介業者への紹介手数料

(借方)支払手数料 50,000円  
(貸方)普通預金 50,000円

税理士としての実務アドバイス

  • 「外注費か?支払手数料か?」で迷ったら、成果物の有無を見る
  • 決済・仲介・処理は支払手数料
  • 人が動いて成果を出しているなら外注費
  • 法人は特に区分を意識する(決算・税務調査対策)

支払手数料は金額が小さくても、
積み上がると損益構造を歪めやすい科目です。

「なんとなく支払手数料」で処理せず、
内容に即した科目選択を心がけましょう。