巷で話題の「年収の壁」。この話題を聞くと、パートや会社員に関係するものだと思われがちですが、実は個人事業主やフリーランスにも無関係ではありません。
事業の収入が増えるにつれて、所得税や住民税、国民健康保険料など、さまざまな「壁」にぶつかることがあります。
この記事では、個人事業主やフリーランスの方にとって大切な「税金の壁」について、実際の会計・税務の仕組みに基づいてわかりやすく解説します。
個人事業主にとっての課税ラインとは?
個人事業主の場合、「売上」ではなく「所得(=売上 − 必要経費)」が課税対象になります。
サラリーマンのような給与所得控除は適用されないため、帳簿上の経費計上が正確にできているかが税負担を左右します。
所得税が発生する壁:48万円
所得税は、「課税所得」があると発生します。
課税所得の算出式
収入 − 必要経費 − 各種控除(基礎控除など)= 課税所得
基礎控除は一律48万円(令和5年現在)なので、事業所得が48万円を超えると、所得税が発生します。
住民税がかかる壁:45万円前後
住民税の課税基準は自治体によって異なりますが、ほとんどの市区町村では「所得45万円以下」は非課税となるケースが多いです。
この「壁」を超えると、住民税の「均等割」と「所得割」が課税されます。
例:大阪市の場合
所得が45万円を超える → 均等割+所得割の住民税が発生(年数万円程度)
社会保険・国保の壁
個人事業主が加入する「国民健康保険」は、前年の所得額によって大きく保険料が変わります。
保険料が増えるゾーン
所得200万円 → 年間国保料 約20万円前後(※自治体により異なります)
所得300万円 → 年間国保料が30万円以上になる例も
経費を適切に計上して所得を抑えることで、保険料の急増を防げる場合があります。
配偶者控除・特別控除との関係
家族が配偶者控除を受けている場合、事業主本人の所得が増えると、控除の適用に影響を与えることがあります。
配偶者控除の基準
所得48万円以下:配偶者控除(38万円)適用可
所得48万円超〜133万円以下:配偶者特別控除(最大38万円 → 減額)
所得133万円超:配偶者控除・特別控除ともに不可
副業でフリーランスをしている配偶者や、扶養の範囲内で働きたい場合には、特に注意が必要です。
まとめ
- 個人事業主でも「税金の壁」は実在します。
- 所得48万円で所得税、45万円で住民税が発生。
- 国民健康保険料は所得によって大きく変動。
- 配偶者控除の適用基準も所得によって変化。
事業所得を適切に管理することで、思わぬ税負担を避けることができます。帳簿を整え、必要に応じて家事按分や青色申告の特典を活用して、賢く税金対策を進めましょう。
この記事内容は時期や地域、細かな部分が事実と異なる可能性もありますので詳しく気になった方は税務署など専門の施設へお問い合わせください。











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