海外出張時にかかる費用 どこまで経費にできる?

事業の拡大や取引先との打ち合わせ、現地調査などで海外出張を行う機会がある個人事業主やフリーランスの方もいらっしゃるでしょう。その際、「どの費用まで経費にできるの?」「旅行と出張の線引きは?」と迷うことがあります。この記事では、海外出張時にかかる費用のうち、どこまで経費にできるのか、税務上のルールに基づいて詳しく解説します。

  1. 経費にできるのか?
  2. 経費になるケース
  3. 経費にならないケース
  4. 経費化の注意点
  5. 勘定科目と仕訳の例
  6. まとめ

1. 経費にできるのか?

原則として事業のために必要な海外出張費用は経費にすることが可能です。ただし、プライベートな旅行や観光目的の費用は経費にはできません。

税務署は実態重視のため、業務目的が明確であることが大前提になります。

2. 経費になるケース

以下のような費用は、業務に必要な出張費として経費に計上できます。

  • 航空券代(エコノミー、ビジネス等合理的な範囲)
  • 現地までの交通費(電車、バス、タクシーなど)
  • 現地宿泊費
  • 出張中の飲食費(業務遂行に伴う必要な食事)
  • ビザ申請費用
  • 出張保険料
  • 現地での業務に関する会議費・通信費
  • 出張準備費(資料印刷、翻訳費用など)

3. 経費にならないケース

以下のような費用は、たとえ出張中であっても経費にはできません

  • 観光やレジャー目的の費用(入場料、ツアー代など)
  • 同行した家族の交通費・宿泊費
  • 免税店やお土産の購入費用
  • 私的な娯楽費用(バー、ナイトクラブなど)
  • 出張に直接関係のない延泊分の費用

特に出張に私的旅行を組み合わせた場合は、業務に関係する部分だけを按分して経費化する必要があります。

4. 経費化の注意点

  • 出張目的、訪問先、日程を明確に記録しておく(スケジュール表・出張報告書)
  • 航空券は業務用であることがわかるように領収書・予約確認書を保管
  • 領収書は現地通貨建て+日本円換算で記帳(為替レートの記録も)
  • 家族同伴の場合は、家族分は家事按分または事業主貸で処理
  • 税務調査に備えて、経費性が説明できるように証憑を整理

5. 勘定科目と仕訳の例

■ 航空券代120,000円、ホテル代80,000円、現地交通費10,000円を経費にした場合

借方:旅費交通費 120,000円 / 貸方:普通預金 120,000円
借方:旅費交通費 80,000円 / 貸方:普通預金 80,000円
借方:旅費交通費 10,000円 / 貸方:現金 10,000円

■ 出張に家族が同行し、ホテル代合計100,000円 → 事業割合70%

借方:旅費交通費 70,000円 / 貸方:普通預金 100,000円
借方:事業主貸 30,000円

明確さを出すなら出張に対して、プライベートと事業との割合をしっかり分けて置くほうがいいかも。

■ 出張時の通信費5,000円

借方:通信費 5,000円 / 貸方:クレジットカード 5,000円

6. まとめ

海外出張時の費用は業務に必要な支出であれば幅広く経費にできます。一方、観光や私的な支出は経費にはできません。出張と旅行が混在する場合は按分処理が必要です。正しい証憑管理と目的の明確化が、税務署から信頼される経費処理につながります。海外出張の際は、事前に必要な記録や証憑を整えておくことをおすすめします。